鎬手(しのぎて)
鎬手(しのぎて)とは粘土を連続して彫る事技法の事です。
刀の「鎬」の部分(刀身の側面にある少し高くなった筋の事)にからその名が来ていて、
連続して彫る事によって出来る彫り残しの山の稜線の部分が刀の鎬を彷彿とさせる様です。
現在では彫る≒鎬手という空気もあり(私が勝手に感じているだけですが)、
作品で名付ける技法名はその作り手に委ねられています。
という事で鎬手の厳密な意味に照らすならばこの作品も鎬手とは言えないかもしれませんが、
私は鎬手を表現したと思って作ったので、皆様もそういう事にしておいて下さい。
さて、今回はこんな花器を用意しました。
写真でも分厚さがわかると思います。彫る気満々。
一彫りしてみました。だいたいこの変はノープランです。
この一彫りに対して自分なりにバランスを取っていきます。推奨はしません。
こんな風にしてみました。シンメトリーは嫌いなのでここからどうもっていこうか。
でも低部はシンメトリーに!個人的に統一感をやや残した方が崩れた
ニュアンスが出るのでこれは大体いつも通りの感じで進めています。
曲線の感じは同じにしつつも文様は大分変えました。
全体の調和をとる為に口も削ります。
完成。三分割にして各々違うパターンで彫り込みました。
素焼き後
裏に撥水剤の塗って今回は鉄赤釉を施釉してみます。
施釉後。
もう一ニュアンスつけ加えたい為、ここで松の灰を吹きかけてみます。
吹きかけ後の姿。
本焼き後
完成!激渋で良い仕上がりになりました。