陶磁器販売・陶芸体験・陶芸教室

5、釉掛け

 

素焼きから出てきた状態のものです。

これから釉薬を施釉しますが、釉薬が底部にかかってしまった場合、

作品を乗せる棚板と作品が焼成する際に癒着して取れなくなるので、

釉薬をはじく撥水材というものを塗布していきます。

撥水材は焼成時に蒸発して無くなります。

 

 

 

 

手ロクロを回して、筆を持つ手は動かさずに塗るのがコツです。

底部にまんべんなく撥水材を塗ったら準備は完了です。

 

 

 

 

さて施釉する前に、今回は一工夫する事にしましょう。

これは鉄赤という釉薬の水分が飛んだ状態のものです。

これを押印した部分と引っ掻いて線を描いた部分の凹みに塗り込んで行きます。

塗り込んた部分が完全に別の色になるのではなく、色が濃くなる様になるのを狙っています。

今回は青の釉薬を使う予定なので、文様の部分だけがより深い青になるはず。

 

 

こんな感じ。凹みに何かを埋め込む事を象嵌と言います。

一般的には粘土や化粧土を埋め込むのですがここでは釉薬を埋め込んでいるので、釉象嵌と言います。

若干珍しいテクニカルな技法です。でもそんなに凄い事ではないです笑

はみ出た部分は水分の含んだスポンジで拭き取ります。

翌日まで乾くのを待って全体的に施釉します。

 

 

 

これが釉薬の一般的な状態です。時間が経つと底に成分が固まって濃度が変化してしまうので、

均質化する様念入りに混ぜる事が大事です。

今回は青い釉薬を使う事にしましょう。

比較的鉄分の多い土を使ったので深く渋い青に仕上がるはずです。

 

 

 

こういう挟みを使って施釉します。指に持って施釉すると指の跡がつくからです。

ですが敢えてそれを狙って施釉する場合もあります。格好つけたい場合にやります。

決まるととても格好いいですが、大体がげんなりする様な仕上がりになります。

ここでは仕上がりが確実な挟みを使います。

写真の取り忘れで、影武者を使っているところは寛容に見て頂ければ幸いです。

 

 

 

特に特別な狙いが無ければ3秒漬け込みます。

ゴルフをスイングする様な所作で浸けると良いです。

 

 

 

10秒くらいで乾燥して手で触れる様になります。

底部の撥水材が撥水しきれていない部分をスポンジでふき取ります。

 

 

 

施釉完了

 

 

 

後は焼成して完成を待つのみ。

 

 

 

 

 

 

               完成!

 

今回は思った程、文様部分の色は濃くなりませんでしたが、渋い青の仕上がりになりました。

毎回毎回色や質感が微妙に変化する為、プロの私たちでも毎回何かしらの驚きや発見があります。

実際にやってみると陶芸というジャンルは非常に面白いです。

100万回生きた猫(100万回生まれ変わって色々な人生を送る猫の童話)が、

毎回陶芸家に生まれてもずっと楽しめるジャンルだと思います。

 

 

 


 
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